2017年1月18日
コラム
キッチン?玄関タイル?フローリング?
完成してから30年40年、変わらないカタチで地震などの自然要因や犯罪から守ってくれる安心感。
しかし、住む前の段階から建物の性能を自分でチェックすることは、
よほど建築の知識があって時間がない限り出来ません。
たとえば、屋根に貼る合板。
何気なく貼っているようですが、
実は釘の長さや釘を打つ間隔まで決まっています。
そんな、目立たない小さなことでも大切なことなのです。
家づくりには何百人、小さな部品から数えたら何千人という人がたずさわります。
人が関わる工事ゆえに長い工程の間には小さなミスや漏れなど必ず出てきます。
例えば、小さなミスであれば建物が一生を終えるまで見つからない可能性もあります。
何年かして大きな地震がおきてそこが致命傷となり建物が損壊する可能性もゼロではありません。
それを、防ぐためには家が設計図通りになっているか、
キチンと工事のチェックすることが必要です。
性能評価とはそのチェックをお施主様にかわり、
第三者の中立した立場の評価員が正しい目線で工事をチェックする制度です。
必須項目 | 選択項目 |
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1.構造の安定 | 地震・風・積雪に対しての建物の強さを評価します。 | |
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2.火災時の安全 | 火災の早期発見のしやすさ、外部からの延焼に対する耐火性を評価します。 | |
3.劣化の軽減 | 柱や土台の劣化の進行を遅らせるための対策を評価します。 | |
4.維持管理・更新への配慮 | 排水管・水道管・ガス管の点検・清掃・修繕のしやすさを評価します。 | |
5.温熱環境 | 建物の冷暖房を効率的に行う為の断熱などの省エネ対策を評価します。 | |
6.空気環境 | 室内への有害物質の発散量、換気対策を評価します。 | |
7.光・視環境 | 室内の明るさを、部屋の広さに対する窓の大きさの割合で表示します。 | |
8.音環境 | 開口部の遮音性能や、共同住宅の上下又は隣接する住戸への音の伝わりにくさを評価します。 | |
9.高齢者への配慮 | 高齢者や子供が暮らしやすいよう、バリアフリーの程度を評価します。 | |
10.防犯 | 犯罪者が住宅に侵入しないよう、開口部に対策がとられているかを評価します。 |
※別荘は除きます。
まずは設計の段階から設計図が決められた性能をみたすように作成されているか?
の厳しいチェックがあります。
承認なしでは工事は進められません。
そして、工事がスタートしてからは、
義務化されている鉄筋検査と上棟後の構造躯体の検査に加えて、
内装下地を貼る前の断熱材が欠損なく入っているかの検査、
竣工時には、仕上げ材が設計図通りになっているか?窓の大きさが間違っていないか?などの検査を行います。
各工程の節目には工事看板をつけての工事写真の管理も必要となります。
設計から竣工まで合計5回の検査を行います。
1つ目は、
例えば家づくりをご近所で普段から家族ぐるみの付き合いのある工務店に依頼した場合、
工事中にこれはミスでは?と思っても普段から仲良くしている気持ちが邪魔をしてなかなか本音を言えない。
というケースがあるかもしれません。
性能評価制度を利用することによって、
公平な判断で評価員が対応をして工務店に指示を出す、
もしくはミスではない場合はわかりやすい説明を評価員がしてくれるので、
お互いの関係を壊さずにしっかりとした納得がいく家づくりができます。
2つ目は、
もっと、お客様に家づくりを楽しんでもらいたいと思うからです。
建築中に、工事のミスがないか気になって目くじらをたてていては、
せっかくの一生に一度の家づくりに楽しい思い出が残せなくなってしまうかもしれません。
お施主様には、だんだん完成していく我が家を眺めながら、
完成した後に置く家具やカーテンの色イメージなどを膨らまして、
わくわくするようなプラスになる気持ちでいてほしいのです。
3つ目は、
完成後のことです。
無事なにごともなく検査を通過して完成した住居には評価書が交付されます。
性能評価の評価書を受領した住まいというだけで安心感があります。
また、
この評価書を取得することにより、
中古として売買する際も資産価値として評価されます。
そして、住宅ローンの金利優遇、税金、保険料の割引など、
金銭的にも優遇が受けられます。
他にも、メリットはたくさんあります。
設計料は今までより少しプラスになりますが、
それ以上のメリットがある制度だと思っております。
信頼できる工務店がもっと信頼できるようになる制度を、
ぜひご活用いただければと思います。
設計・工務課 永井 雄一